大手通信キャリアと聞いて、皆様どの会社を想起するでしょうか。
おそらく、au、ドコモ、ソフトバンクではないでしょうか。
俗にいう大手三代キャリアですね。
かつての通信キャリアの競争軸は「エリアの広さ」と「通信の品質」でした。そのため、電電公社を背景に持つNTTドコモが圧倒的な競争優位性を持ち、シェア率でも他を圧倒していたと言えます。しかし現在の競争軸は違います。
MVNOやオンライプランの登場により、今や繋がることは当たり前。料金がある程度安いのも当たり前。
差別化の軸は「価格や品質」ではなく、「価値」に移行しつつあります。
今回は変換の時期にある大手通信キャリアの競争戦略についてお話ししていこうと思います。
①大手3社の基本戦略
診断士目線で基本戦略を解剖していきましょう
NTTドコモ
戦略タイプ(ポーター)
・差別化集中戦略
ahamoで若年層のユーザーを獲得しつつ、クレジットカードやでんきやガス、dポイントサービス圏を拡大。
au
・多角化・集中戦略
ライフデザイン事業(auじぶん銀行)でARUP以外の収益を拡大。
ソフトバンク
・連結型差別化戦略
PayPay、LINE、Yahoo連携によりデータドリブン経営により拡大。
②通信業界の5フォース分析
通信業界は完全なる成熟市場です。ポーターの5フォースで見てみましょう。
・新規参入の脅威
MVNOや楽天モバイルなど、参入障壁が低下し競争は激化している。しかし、ユーザー目線では大手キャリアへのブランド優位性の価値は高い。
・買い手の交渉力
料金透明化、MNP自由化により買い手の交渉力がかなり高い。企業目線では独自のサービスを提供する必要がある。
・代替品の脅威
WiFiやサブスク契約。代替品はあり触れている。
・供給者の交渉力
端末メーカーやコンテンツ事業者。提携・垂直統合を進める必要がある。
・競争企業間の関係性
激化状態。価格での差別化はかなり難しいため、価値での競争を求められる。
見ての通り、通信業界はかなりのレッドオーシャン。大手キャリアは通信以外の領域(金融、EC、サブスク、ポイント経済圏)などで差別化を行っている。
③VRIO視点での経済圏戦略
NTTドコモ
Value(価値)・・・・・dポイント還元率と汎用性
Rarity(希少性)・・・・圧倒的な全国ブランド力
Imitability(模倣困難性)・長年の顧客基盤
Organization(組織)・・NTTグループ内の連携
au
V・・・・・・・・・・auPAYやじぶん銀行の金融系サービス
R・・・・・・・・・・ライフデザイン統合
I・・・・・・・・・・他事業との連携サービス(通信×金融)
O・・・・・・・・・・KDDIグループ再編(光回線の選択肢が豊富)
ソフトバンク
V・・・・・・・・・・PayPay・LINE統合
R・・・・・・・・・・巨大データ連携
I・・・・・・・・・・グループ間シナジー
O・・・・・・・・・・Zホールディングスとの協業体制
このように様々の手段を用いて単なるポイントによる経済圏の拡大ではなく、顧客接点を横断的に支配する戦略となっている。
まとめ
このように大手3キャリアは細かなところで差別化を図る成長戦略をたたております。
実際現場で、お客様に乗り換えの案内をする際は、正直どのキャリアもそこまで違いはありません。
ただしっかりと理解し活用しようとした時に初めてそれぞれのキャリアの特色が出てきます。
個人的に1番お得なのはdポイント還元率で圧倒しているドコモです笑。
戦略の根幹は『通信×データ×ライフスタイル』となっており、顧客のLTVをどれだけ高め、どれだけの時間を共にできるかが鍵です。事業ドメインを”通信”から”ライフデザイン”に再定義し基盤を作ることが求めれています。



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